ヴィタリエ ズブコは 母国モルドヴァ共和国で少年期に美術館で 葛飾北斎の「神奈川沖波裏」を観た時の衝撃から東洋への憧れ止みがたく長じて国費留学生として中国北京中央美術学校に入学しました。北京では水墨画の修行に打ち込みました。
やがて東洋の幻の地北斎・雪舟・仙涯の居た日本へと旅立ったのです。
そして深谷での厳しい労働環境の中でもめげる事なく必死に絵を描き続けました。(現在は庭師として特に松の剪定に芸術作品として取り組み至福の時を過ごしておりますが)
大・中・小と様々な作品は水墨画であり水彩画であり油絵・スケッチと多岐に亘りました。絵を描くことが何より好きで画題に事欠かない深谷の風土が大好きで
初期に描かれた「山」シリーズは多くの人に特に絵を描く人に好評でした。
深谷から見える山々がかくも個性豊かで表情を持っている事を生まれ育った私たちも気がつかずその山々は「ヴィダリィの山」と称されたものです。
中近東に位地するモルドヴァは東洋・西洋の中間地帯であり両方の要素を持っているようで特に彼の描き出すブルーの何色かは懐かしい風情を我々の脳裏に与えるものがあります。
絵描きが画風を変える事は勇気のいる事と思いますがこの十数年で二度三度と変化している事は驚きです。
ヴィタリエ ズブコには、どこかボヘミアン的なところが有るのかも知れません。
令和元年九月
自称深谷の蔦重こと榎本博光