英語 English version→profile
1.ヒストリー
1970年 7月28日生まれ。
ヨーロッパの小さなワインの国、モルドバ共和国 チェルリナ村にズブコ家の長男として誕生。2人の妹の兄。
おばあちゃん子で、優しく聡明な祖母アレクサンドラから沢山の教えと感化を受ける。
裸足でがんばってください
幼い頃から自由奔放だったが、絵に非常に興味を持つ。
14歳の時、「絵の学校に行きたい!」と、父ゲオルギに泣きながら何週間にもわたって頼み込む。
その真剣な様子を見、息子を信じた父親が、ある日突然OKする。
苦しい中でなんとか学費を捻出し、離れた町カメンカの芸術学校に転校させてくれ、2年間寮から学校へ通った。
美術を学びながら、モルドバの名門アレクサンドル プラマデアラ美術専門学校の試験を受けるが、不合格。
めげずに毎年挑戦するが、毎年不合格。
そして4年目を迎えた18歳の時、ついに4回目で合格を果たし、もう無理だとあきらめていた皆を驚かせ、村のニュースとなる。
合格のためには裏金を使うのが「約束事」ともなっていた中、4年間もあきらめずまともに挑戦し続け18歳で入学してきた新入生に、教師たちは驚いた。
ヴィタリエは意欲的に本格的な絵の勉強に取り組んだ。そして、集大成となる卒業制作は、納得行くまで寝ずに粘り、卒業式の朝を迎える。そしてなんと、そのままの汚れた服と裸足で卒業式に現れ、騒ぎとなった。学校創立以来の珍事に、皆の前で 「学校の歴史汚しだ」
と言う教授もいる中、大学から来ていたある教授の”鶴の一声”でその場が静まる。
「素晴らしい男だ!
自由と勇気に感動した!
裸足で私の大学でもがんばってください!」
立ちはだかる万里の長城
プラマデアラ卒業後、モルドバ国立芸術大学に入学し、ファッションデザインを勉強した。ヴィタリエには夢があった。
モネやセザンヌなどの巨匠を生み出した憧れのフランスで勉強すること…
フランス留学を夢見て 日々邁進した。
そして、一年後、転機が訪れる。
その成績と努力が認められ、モルドバ文化庁により中国政府 国費留学生に選ばれたのだ。
国でひとり与えられたチャンスに、喜びと期待に胸を膨らませて “フランス”ではなく‟中国” に渡った。
留学先の北京中央美術学院は、中国で最も権威がある著名な大学の一つで、中国や海外から集まった”超エリート”の中で生活することになる。
モルドバではもてはやされて自信満々だったヴィタリエは、全くわからない言語、文化、見たこともない材料を前にして自信を失い、人生初のどん底に。
目の前に立ちはだかる「万里の長城」に自分の限界を感じ、もうあきらめてモルドバに帰ろうかと真剣に悩んだ。
しかし、自国で自分ひとりが手にいれたチャンスに責任を感じ、思いとどまる。
絵を描く楽しさを再び感じたい!という願いだけを支えに、毎日ひたすら筆を動かし続けた。
そして一年後,ふたたび転機が訪れる。
新任の若手の教授がヴィタリエの創作をみて、絶賛したのだ。
その自由な形、モダンなスタイルの水墨画から溢れ出る力……
見過ごされていた存在が、突如注目を浴びるようになった。
再び自信を取り戻したヴィタリエは、殻を破ってのびのびと制作に励むようになった。
在学中はチベットへスケッチ旅行に繰り出し、東洋と西洋の美術史を深く研究した。
そして、そこから得た様々なアイデアを持ち前の独創性と自由奔放な生き方に融合させ、猛然と多様な作品に取り組んだ。
在学中開いた個展では、その力あふれる独特な画風が認められ、数々の作品が 大使館やホテルなどにも収められた。
北京でのエピソードはこちら > 留学したが生活費が足りない! 夢が壊れた日 1994年
僕は誰にも縛られない!自由だよ!
大学では、自分のモットーにしたがい感性のままに独走し、教授から愛想を尽かされつつ芸術三昧の毎日を謳歌する。
自分を信じて 絵に没頭する日々‥…
執念と強い意思を注ぎ込んで描き上げた卒業制作は 最優秀作品との評価を受け、6作品のうち3作品が中央美術学院美術館に買い上げられ収蔵された。
抽象画が自然の中に!
大学卒業後、日本へ移住する。
言語も環境も変わり、苦労しつつも芸術への情熱を抱き続け、数多くの作品を制作。お金もない、日本語も日本の社会も分からない、、、暗中模索だったが、初めて見る日本の風景への感動や、生活していく中での思いを夢中で描きつづける。
自動車免許を取るまでの10年間、自転車で走り回った埼玉県深谷市。
のどかに広がる関東平野の向こうに見える赤城山、浅間山、榛名山、、、。
日本の山々の独特な形は「天然の抽象画だ!」と感激する彼の心を揺り動かし、「ヴィタリの山」シリーズを含むたくさんの抽象画をいっきに描き上げる。
ヨーロッパとアジアの要素の入り混じったその斬新なスタイルの絵は、東京のギャラリーの ”感性の洗練された” 顧客に人気となった。
また、バイト先の花屋では、出荷用のチューリップを育てながら、モチーフとしてのチューリップを自分なりに研究した。
やがて、チューリップは「ヴィタリエの花」となり、独特な形に姿を変えてキャンバスの上で咲き続けている。
感動の日々
2019年末、埼玉県から800キロほど離れた広島県福山市に移住。
はじめて見る瀬戸内の景色に 再び感動の毎日。
古い街並み、昭和の家が立ち並ぶ小道穏やかな海に沿って広がる漁村、なだらかに連なる山々に、歓声を上げて走り回る。
「どれをも絵に残したい!!」
今日も筆を躍らせる。
2.学 歴
- 芸術学校 (カメンカ)
- アレクサンドル プラマデアラ共和国美術専門学校 教授セルジウ フス
- モルドヴァ共和国州立美術大学ファッションデザイン科
- 北京中央美術学院中国画科 (中国政府奨学金留学生として) 教授Li yang 李杨/Hua qinmin 华其敏/Tian liming 田黎明/Liu qinghe 刘庆和
3.作品の個人及び美術館所蔵13カ国
- チェコ共和国
- イギリス
- ルーマニア
- モルドバ共和国
- 中国
- シンガポール
- フランス
- 韓国
- ロシア
- ドイツ
- オランダ
- 日本
4.過去の展覧会
▼1995
・国際美術家作品交流展。(北京 国際芸苑)
・国際美術家交流展。(北京市現代美術館)
・中央戯劇学院における演劇のファッションデザインを手がける
▼1997
・国際美術家彫刻家作品交流展。(北京 国際芸苑)
▼1999
・個展。(モルドバ大使館後援 北京ヒルトンホテル パノラマギャラリー)
・個展。(北京 和洋五星現代画廊)
・個展。(北京 イーストゲートプラザ)
<来日>
▼1999
・グループ展 (名古屋)
▼2000
・ 個展。「インプレッション in深谷」(埼玉 深谷駅市民ギャラリー)
▼2001
・ 第 23回深谷市美術家協会展、奨励賞受賞。
・種々展。(東京 円鳥洞画廊)
▼2002
・中国に学んだ画家展。(横浜 Kアートスペース 同 2002, 2003)
・種々展。(東京 円鳥洞画廊)
▼2003
・第 2回深圳国際水墨画ビエンナーレ。(中国深圳美術館)
・個展。(熊谷 街の駅ギャラリー)
・「第 7回癒しの空間展〜ズブコ ヴィタリエ〜」(埼玉 熊谷生協病院)
・種々展。
・個展。「COLD MOUNTAIN improvisation」
・個展。「black ink・ water・ brush」(モルドバ キシナウにて)
▼2004
・個展。(深谷 国際寺)
・第 26回深谷市美術家協会展、朝日新聞社賞受賞。
▼2005
・「アジアの熱風」展。(銀座 中和ギャラリー)
・個展。「十年の水墨の道」(埼玉 深谷駅市民ギャラリー)
▼2008
・種々展。(東京 円鳥洞画廊)
▼2011
・個展。「即興 in 深谷」
▼2014
・ 種々展。(東京 円鳥洞画廊)
▼2015
・個展。 「太田のグラジオール」(群馬 アトリエ みちのそら)
▼2017
・二人展 (埼玉 深谷駅市民ギャラリー)
▼2019
・個展 。「深谷在住最後の個展」 (埼玉 深谷駅市民ギャラリー) ・在日モルドヴァ共和国大使館より名誉賞を授与される。
▼2022
・個展。 「海辺カフェの小さな個展」広島県福山市初の個展。
▼2023
・個展。「瀬戸内の海景」(埼玉 深谷駅市民ギャラリー)